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月の絵本

ひまわり

おつきさまこんばんは

(林明子/作 福音館書店/刊)
夜空にのぼったお月さま、黒い雲がお月さまをかくすけれど、雲が去るとまた、明るく夜空を照らしてくれます。
とてもシンプルな展開ですが、子どもの心をつかむのは、これも一種の「いないいないばあ」絵本だからかもしれません。
小さな子に読んだとき、雲が月を隠すページで、子どもは雲に怒ったように、ページをぱしぱしと叩いていました。
月が顔を出すと、子どもも一緒ににっこり。裏表紙のお月さまの顔も、おちゃめです。
童謡「月」ともリンクする絵本だと思います。歌いながらよみきかせても良いかもしれません。

まんまるおつきさん

(ねじめ正一/作 さいとうしのぶ/絵 偕成社/刊)
まんまるお月さまを見てると、おいしそうな「あれ」に見えてくる…?
お月さまを食べ物に見立てて、もぐもぐ食べちゃうおはなし。確かにお月さまっておいしそう。
子どもと読みながら一緒にもぐもぐすると楽しい絵本です。
まんまるおつきさん
パパ、お月さまとって!

パパ、お月さまとって!

(エリック・カール/作 もりひさし/訳 偕成社/刊)
空に浮かぶお月さま、どうしたら手が届くんだろう? 多くの子どもが思うことではないかしら。
「パパ、お月さま とって!」と言われて、本気で月を取りに行ってくれるお父さん、かっこいい。
月がどれほど遠くにあるのか、絵本から飛び出るしかけが感じさせてくれます。
お父さんがたどり着いた月の大きさも、大迫力の仕掛けでみせてくれます。月の満ち欠けについて描かれているのもおもしろい。
月が日々形を変えていくのって、不思議なことですものね。

つきよのかいじゅう

(長新太/作 佼成出版社/刊)
かいじゅうが出てくるのを、湖のほとりで10年もの間待っている男。
ある月夜、ついにかいじゅうが男の前に姿を現します。「かいじゅう」って言われたら、きっと、ああいうかいじゅうだろうなって、みんな思うでしょう?
でもこのかいじゅうは、想像を超えた姿のかいじゅうなのです。
よみきかせをしていて、かいじゅうが真の姿を現した時の子どもたちの反応を見るのが楽しみで、この絵本をお月見の季節によく読みます。
真の姿を見せたかいじゅうが、また湖の中に沈んでいく音と共に、ざわついていた子どもたちがだんだん静かになっていきます(よみきかせがうまくいけば)。
静かになった湖の前で、とりのこされた男と一緒に、私たちはきつねに化かされたような、でもどこか心がシンとなるような、妙な余韻の中で、絵本を読み終えるのです。
つきよのかいじゅう
つきのぼうや

つきのぼうや

(イブ・スパング・オルセン/作 やまのうちきよこ/訳 福音館書店/刊)
縦に長いサイズで、大きくて棚に入らなくて困ることもある絵本、でも縦長だからこその表現がたまらない絵本です。
目線誘導の効果がなんともおもしろい。
絵本を開いてまず、地上にいる人間と、月の間にあるたっぷりとした距離が目に入り、月がとても高いところにあるんだということが感じられます。
池の水面に映った自分の姿を見たお月さまが、「もうひとりのおつきさまがいる」と思って、つきのぼうやに、もうひとりの月をつれてくるように頼みます。
縦に長いページによって、空から下へ、下へと降りていくぼうやの様子を、読者の目線も上から下へ誘導されながら、楽しむことができます。
ぼうやは、月に似ているともいえる、「丸いもの」と出会いながら、下へ下へ、おりていきます。
つきのぼうやってよく考えたら誰? 妖精? って感じなのですが、全然違和感なく物語に入りこめてしまいます。
鏡に映った自分を「おつきさま」だと言うことから、おつきさまの分身? 魂? なのかな。
鏡に映った自分を「なんて かわいらしい おつきさまだ」とぼうやが言うところも、
お月さまが鏡に映った自分の姿を見て、「りっぱで うつくしいかた」と言っちゃうのも、自己肯定感が感じられて良いなと思います。

みらいのえんそく

(ジョン・ヘア/さう 椎名かおる/文 あすなろ書房)
未来には、宇宙船に乗って月に遠足に行くことができるのかも…?そんなわくわく感から始まる絵本。
でも、未来にも「はみだしっこ」はいるようですね。
みんなから離れた場所で、絵を描き続けていた子が、月に一人取り残されてしまいます。そこにやってきたのは、宇宙人…!
はみだしっこだったからこそ、味わえたスペシャルな体験。絵を通して宇宙人と仲良くなれるのも素敵。
主人公のその子が、男の子か女の子か、見た目ではわからないのも、なんだか良いなと思ったポイントです。
宇宙人ももちろん性別なんてわからなくて、未来ってもしかして性別なんて、どっちでも良いと思えるようになるのかもしれませんね。
みらいのえんそく
ぽんぽん山

ぽんぽん山の月

(あまんきみこ/文 渡辺洋二/絵 文研出版/刊)
ぽんぽん山のうえで、お母さんの帰りを待つ、こうさぎたち。月にお母さんの姿をみつけます。
その様子を見ていたはずかしがりやのやまんば。やまんばには、こうさぎたちのお母さんに、心当たりがありました……。
母を待つうさぎの子たち、はずかしがりやのやまんばが取った行動、それぞれのいじらしさに、胸を打たれます。
そしてそんな小さな小さなできごとをずっと空から見てくれているのは、お月さま。
どんなときも、空から見てくれている存在がいるんだと思わせてくれるような、悲しいおの中に一筋の光のある読後感です。
このお話を初めておはなし会で聞いた時、隣で聞いていた妹がほろりと流した涙が忘れられません。
私はあまり集中してお話を聞けないことも多くて、その日も多分自分のおはなしの番がくるまでそわそわしていました。
隣の妹は物語をしっかり受け止めて、味わっていたんだと、その澄んだ感受性を、見習いたいと思った記憶があります。




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