のりまき(小西英子/作 福音館書店)真っ黒なのりが、四角い絵本のページにぴったり置かれて、その上に酢飯、具をのせて、巻くと…おいしいのりまきになります。 とてもシンプルな内容のようでいて、絵本の四角形という形が、「のり」を置くのにぴったりちょうどいいなんて、 気づきそうで気づかないところにスポットライトを当てたところが、この絵本の圧倒的勝利ポイントだと思います。 見ていると本当にページにぴったり、気持ちいいのです。 のりを置くために絵本ってあったんだなあって思えてしまうくらいです。 読みながら、一緒にのりまきを作っているような気分になれる絵本。 節分の季節のおはなし会にぴったりの一冊。 |
ふくはうち、おにもうち(内田麟太郎/作 山本孝/絵)節分の日には、豆をまいて、鬼を家から追い出すのがならわしですよね。 節分の夜、家の外で「さむいよ~」と凍える鬼たちを、心優しい男は家に招き入れてしまいます。 そして、鬼と一緒にどんちゃん騒ぎ、そこに福の神も現れて…。 憎めない登場人物たちに読むとみんなが笑ってしまうお話。 福の神を引き留めようと必死なおかみさんが良い味を出しています。 |
ないたあかおに(浜田廣介/作 池田龍男/絵 偕成社/刊)村人と仲良くなりたい赤鬼のために、一肌脱ごうと悪者になろうとする友達の青鬼。 青鬼の残したメッセージを読むと、自然に涙がこぼれてしまいます。 浜田廣介の代表的な童話「ないたあかおに」の絵本は各社から出ていますが、シンプルな絵柄のこの絵本が私は好きです。 文章が長いので、絵本にするのは少し難しい部分もあると思うのです。 この絵本をよみきかせで低学年に読んだとき、生徒さんの反応があまりなかったので、 「ちょっと難しすぎたかなあ、暗すぎたかなあ」と思ったのですが、 あとで「とても感動しました」と感想を書いてくれた子がいました。 ついつい、反応のあるおもしろい絵本を選んでしまいがちですが、反応がなくたって心にじわっと届いていることがあることを実感した作品です。 |
オニじゃないよおにぎりだよ(シゲタサヤカ/作 えほんの杜/刊)山に住む鬼たちが、人間においしいおにぎりを届けようと、たくさんのおにぎりを作って山を下ります。 しかし、人間たちはもちろん怖がって…。 オニたちのおにぎり愛ゆえの行動に、こっけいさも感じて、笑ってしまう絵本です。 |
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オニのサラリーマン(富安妙子/文 大島妙子/絵 福音館書店/刊)地獄はもちろん、恐ろしい場所だと思うのですが、そこにいる鬼たちが、もし「じごくカンパニー」という会社の社員だったら…? しかもその会社(地獄)、関西にあるんでしょうか? みんな味のある大阪弁をしゃべってるんです! 満員バスに揺られて出勤して、好きな業務や苦手な業務があって、お昼のお弁当が楽しみで…。 ああ、あの恐ろしい鬼たちも、サラリーマンなんだ…と思うと、なんだか笑えてきます。 お昼ご飯をたべてすっかり眠くなった鬼の居眠りのせいで大混乱に陥った血の池地獄での『蜘蛛の糸』ばりの展開には、大笑い間違いなし。 もし地獄を必要以上に怖がっている子がいたら、見せてあげたい絵本です。 |
だごだご ころころ(石黒渼子・梶山俊夫/再話 梶山俊夫/絵 福音館書店/刊)ばあさんの作っただんごが気に入った鬼たちは、だんごを作らせるために、ばあさんを家に帰さない。 帰りたいばあさんは、鬼たちが寝ている間に、にげだします。 だんごと酒が好きな鬼たちは、怖いけれどちょっとかわいい。 でもばあさんを追ってくる鬼たちは、やっぱり恐ろしい。 ばあさんがどうやって家まで戻るのか、ハラハラドキドキの展開です。 手助けをしてくれる赤とんぼの存在も小さいけれど心強い。 鬼の出てくる絵本は数多ある中、なぜか心に残っているのは、 方言のリズムの良さと、物語の展開がおもしろいからかなあと思っています。 |
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おによりつよいおよめさん(井上よう子/作 吉田尚令/絵 岩崎書店/刊)山奥に住む乱暴な鬼が、村に住む人間のおなごを嫁にしたいと言う。 すると、とらという大きな娘が、自分が嫁になると申し出る。 小屋に帰って鬼はとらに家事を命じるが、とらはしないという。 怒った鬼がつかみかかると、とらは鬼をぶっとばした。 なんとここの娘、鬼より力が強かった! 何もしないとらを、鬼は村に帰そうとするが…。 なんともおかしな、鬼と人間の愛のおはなし。 節分を超えて、バレンタインあたりに読むのも、しっくりくるなと思っています。 重ねて貼ったような質感のある絵も、味があってじっくりと見入ってしまいます。 |
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