おかあさんだ(まついのりこ/作 偕成社/刊)えーんえーんと泣いているぞうの子 お母さんがきたら、にっこり笑顔になります。 ぶた、ねずみ、おばけ…と、様々な生き物が同じ動作を繰り返す絵本ですが、お母さんがいることの理屈なしの安心感が、心地よく伝わってきます。 文字が読めるようになったばかりの小さな子が、読んでいたのを見かけたことがあります。 ゆっくりと文字をたどりながら、お母さんがいることの安心感を噛み締めているように見えました。 みんなでね(まついのりこ/作 偕成社/刊)この判型のまついのりこさんの絵本シリーズでは、『がちゃがちゃどんどん』が有名ですが、他にもいろいろ出ていて、『みんなでね』という絵本も私はとても好きです。 お友達と一緒にいろんなことをするという展開のなかで、 「みんなでね、ないたの」というところに心掴まれました。 みんな一緒なら、泣くことさえ心強いものなのだと感じたからです。 お母さんがそばにいること、友達といっしょに何かをすることの、幸福感や安心感を、シンプルに伝えてくれる絵本です。 |
ころころ にゃーん(長新太/作 福音館書店/刊)お母さん猫がくつろいだ様子で横たわっていると、子供の猫がころころ転がってきて、「にゃーんにゃーん」と鳴きます。ちょっとむっとした表情のお母さん。 |
ママだいすき(まど・みちお/文 ましませつこ/絵 こぐま社/刊)ママとの毎日、ふれあいを通して、子どもがママを大好きだと思う気持ちが描かれた絵本です。 もものこぶんこで、旧版のソフトカバーの絵本を見つけました(福音館書店/刊)。 現在流通しているのは、ソフトカバー版を再構成、絵も描き直した新版になるのだと思います。確かに新版は、整理され洗練されている感じがします。 でも、私は旧版の、少し子供が駄々っ子ぽい雰囲気があるところが、とても気に入りました。新版は、ちょっとお利口さんな仕上がりなのです。旧版はほんの少し、お母さんを振り回すような子どもの空気が感じられます。 中でも旧版の、「ママ、はなきれいね」と語りかけるページが、とても好きです。 子どもは、お母さんが大好きで、大好きな人に、美しいものを見せたいと思っているのです。自分の目にした素敵なものを、お母さんと共有したいと思っているのです。子どもがあんなに「見て、見て」と話しかけるのは、自分を見てほしい時の他にこんな理由があるのですね。 新版でこれに近いと思われるページは「わあ きれい ママ」というページですが、子ども(芋虫)が母(蝶)のことを「きれいね」と語りかけているので、旧版とは意味が違っています。けれど、成長することへの楽しみが感じられて、違った良さがあります。 ぜひ旧版と新版、もものこぶんこで見比べてみてください。 |
おんぶはこりごり(アンソニー・ブラウン/作 藤本朝巳/訳 平凡社)ああ いそがしい いそがしい!(ジョナサン・シップトン/作 マイケル・フォアマン/絵 せなあいこ/訳 評論社)まって(アントワネット・ポーティス/作 椎名かおる/訳 あすなろ書房/刊)ひとことでいうと「お母さんは大変だ!」の3冊です。 『おんぶはこりごり』は、本当にひどい。お母さんは家族のために家事をして、働きにも出てる。それなのに、お母さんが家事している横で、ソファでくつろぐ子どもや父親の姿! 2005年の絵本ですが、今でもこんな風景はなくなっていないのではないでしょうか。お母さんは「ぶたのめんどうはこりごり」と書き残して出ていき、残された家族は、ぶたになってしまう…。作者のアンソニー・ブラウンの皮肉が効いています。 『ああ いそがしい いそがしい!』でも、お母さんは大忙し。息子はお母さんが大好きだから、お母さんに見せたいものがあるのです。 『まって』でお母さんが手にしているものをよく見ると、スマホ!『まって』は2015年の作品ですが、1993年の『ああ いそがしい いそがしい!』とストーリーは似通っています。 時を超えて、いつになってもお母さんは忙しい、普遍的なテーマなんですね。 世のお母さんに、少しでも楽になってほしいなあ、そんな世の中を作っていきたいです。 |
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